当時の世界記録まで6cm!陸上やり投げの溝口和洋をご存知だろうか。一人称ノンフィクション「一投に賭ける」を読んでみた。
溝口和洋(みぞぐち かずひろ)というやり投げ選手をご存知でしょうか?
ハンマー投げの室伏広治選手が世界トップクラスの投擲選手であったことは記憶に新しいけれど、それよりも少し前の時代にやり投げで世界トップレベルの選手がいたんです。
その選手が溝口和洋選手。ボディビルダーのようなムッキムキボディだったことでも有名。
1989年に当時の世界記録87メートル66センチに6センチと迫る87メートル60センチを投げて世界歴代2位となったことがある超人。
僕自身も高校、大学と陸上の投擲種目ハンマー投げをやってたこともあり、溝口と言えば種目は違えど超有名な選手。僕にとっては大スター選手でした。僕が競技やってた時期は溝口選手も絶頂期から引退に向かっていた頃だったかな。最後のほうは投げたあと、肩の痛みで顔をゆがめていたのが印象的。
そんな溝口選手の一人称ノンフィクション「一投に賭ける」を本屋で偶然見つけました。
おおおおおおおおお・・・・!!!
みぞぐちの本やないかぁ~~~!!!
手にとってちょい読み。
読み出したのは真ん中くらいから。溝口といえば幻の世界記録を投げたことでも有名。当時の世界記録を2センチ上回る世界新記録を投げたのに再計測され記録を縮められてしまったという。その真相はどうだったのかというところが一番気になるところ。
なるほどなぁ~。そういうことやったんかぁ~!!
あいつらぁ~(怒)!!
そのあたりから少し読み進めてから購入しました。
18年にも及ぶ取材で書き下ろした内容で高校時代から大学時代、社会人として絶頂期、故障から引退後の生活、現在に至るまでを一人称スタイルでまとめた本。書き手が溝口選手というスタイルなのでまるで溝口選手が語ってくれているような印象を受ける本でした。
とにかく無骨で多くを語ってこなかった溝口選手の本ということもあり、興味深く、濃い内容でした。
室伏選手はハンマー投げで世界トップレベルになったけど、ハーフで長身。身体的能力にアドバンテージがあったのは事実。
一方、溝口選手は生粋の日本人なので、世界トップレベルに至るまでのトレーニングは想像を絶するものだったようです。とにかくパワーをつけるためにウェイトトレーニングが中心で、そのトレーニングは12時間にも及ぶこともあったそうです。室伏選手が僕の10倍ウェイトトレーニングやってたと言ってたそうな。
引退後はパチプロ、現在は農業を営んでるそうですが、過去の栄光のトロフィーや表彰状は全部捨てて残ってないとのこと。
人が自分の存在を忘れても自分には誇れる過程と結果がある、それでいいじゃないか。
やりの一投に全てを賭け、それに勝つことができた。
男、溝口和洋、そんな本です。