ハンマー投げの技術レベルを数値化してみると、室伏広治選手の技術は世界歴代1位だった!!
テレビ見てたら「スポーツマン No.1 決定戦」やってた。
こんなんやっとったなぁ~。
なっつかし~。
俳優のケインコスギ、体操の池谷、ハンマー投げの室伏。
やっぱ室伏怪物じゃわ~
見てたら久しぶりにハンマー投げのことを思い出した。
室伏選手は僕より1つだけ年下だったので同じ時期に競技をやってました。
体格、風貌、記録、まあ恐竜みたいな選手でした。
僕は高校から大学卒業までハンマー投げやってました。
身長は168センチで当時の体重が72kgくらい。
まあ、スポーツ推薦で大学でハンマー投げやってる中で一番小さなレベルです。僕より小さい選手っておったかな?って感じです。180センチ90kgが普通って競技ですもんね。
さて、このハンマー投げですが、7.26kgのハンマーをサークルの中で3回転から4回転して投げる競技。
大きな選手が力まかせに投げてるように見えるけど、実は繊細な技術がたくさんあるんです。
とはいうものの、体格が大きい(体重が重い)ことは有利な競技です。
その部分を解説しときます。
ハンマー投げは7.26kgの鉄球を遠くへ投げる競技。7.26kgは16ポンドでボーリングの1番重いボールと同じです。(結構重いんです)
回転する競技なので遠心力とヘッドスピードが関係します。
体重が重いと回転する円が大きくなります。
逆に体重が軽いと小さくなる。
これだけはどうすることもできません。
下の図。
ハンマーが右で、体が左。
遠心力に対抗するために体が軸(足が地面に接しているところ)に対して傾きます。
この傾きでバランスがとれているわけですね。
体重が軽い選手の場合はその傾きが大きくなります。
で、それぞれの半径。長さが違ってきます。
ハンマーと体の位置が逆になっても同様の現象が起こります。
さて、この図にハンマーの軌道を追加。
どうでしょうか。
円の大きさが違いますね。
ということは同じスピードで回転をしてもハンマーのヘッドスピードが違います。当然ながら体重の重い選手のほうが遠くへ投げることができるんですね。
小さな選手が大きな選手に勝つにはスピードを上げることが必要になってきます。
オリンピックや世界選手権なんかを見てても回転メチャクチャ速いなぁ~と思っても記録がイマイチ伸びない選手がいます。これはスピード以外の技術もあるけど、体格の差によるところが大きいと思います。
さて、ここからが本題。
ハンマー投げの技術はいろいろあるけど、その技術レベルの指標として大事なのが、体重1kgあたりどのくらい投げることができるのか?というものがあります。
これは僕が学生時代に読んだハンマー投げ関連の本で載ってたやつ。
どんな本かは20年以上前なので覚えてませんが、読んだときになるほど!と思いました。
覚えてないとはいうものの、恐らく室伏選手の父でコーチも務めた重信さんの本だったと思います。
(それくらいしか読んでないし…)
それで、自分の技術レベルを確認すると、体重1kgあたり70センチ投げてました。当時72kgで記録は50m46cm。
計算はこうです。
50.46(m) ÷ 72(kg) = 0.70(m)
記録を体重で割るだけ。
さて、世界歴代10傑の選手をこの計算で技術レベルを計算してみました。
こんな感じになります。
※ 体重は記録を出した時点でのものか怪しいのであくまでも参考です
世界トップ10の動画はこちら。
どうでしょう。
世界10傑の中で室伏選手が0.857でトップですね!
スゲ~。そりゃそうか。体重が一番軽いですもんね。
でも凄くないですか!セディフやリトビノフよりも上です。伝説の選手よりも上!!
体格による限界を一番突破していたと言えるのではないでしょうか。
室伏選手の動画です。
体重1kgあたり80センチを投げることができる選手は世界レベルでも稀であることが分かります。
世界10傑の技術レベルの平均は0.771でした。
つまり体重1kgあたり約77センチですね。
さて、次は日本歴代10傑でも調べてみました。
体重のデータが見つからない選手は空白です。(体重間違ってたらご指摘ください!修正いたします!)
※ 体重は記録を出した時点でのものか怪しいのであくまでも参考です
こちらの動画は第96回の日本選手権決勝です。
おお!室伏選手の父親である重信さんの技術レベルが0.844!
世界トップレベルですね!
他の選手は0.70未満となります。
平均は0.684です。
室伏選手親子を別格として除外した場合は0.617となります。
こうやって数値化してみると世界と比較して技術レベルに差があることが分かりますね。
ただ、日本の選手にはまだまだ伸びしろがあることも同時に分かります。
体重100kgで70m投げることができる選手の技術レベルは0.7。
これを0.8まで上げることができたら80m投げることができますからね。
110kgの選手で70mなら技術レベルは0.636。
これを0.7にしたら77mです。なんと日本歴代2位の記録となります。
めちゃんこ希望がもてますね♪
早く室伏選手に続く世界で戦える選手が出てきてほしいものです。
さて、僕の数値は0.70でした。意外に高いけど納得。技術はとことん追求しましたからね。
ベスト記録は50mちょっとなのでたいしたことないのですが、そんな僕でも関西学生選手権の2部校で優勝。1部昇格に貢献できました。
参加選手は僕より大きな選手ばかりでした。
その時の動画もご紹介。それなりに高速ターンですが記録は49m台だったと思います。
当時思ってたのは僕は小柄だったから技術でカバーするしかないってこと。
大柄な選手は技術が低くてもそれなりに投げることができてしまうので、力まかせに投げてたように思います。技術が伴えば60m投げることができるポテンシャルの選手はたくさんいました。
室伏選手の登場までは日本学生選手権での優勝ラインは62とか63mあたりだったでしょうか。
それが室伏選手の出現で記録が底上げされて65mくらいになったように思います。
とにかく当時は60m投げたら学生でトップレベル。70mスローワーなんて今でこそ10人に達してますが、当時はたったの3人。世界は80mがトップレベルですが、日本はそれくらいです。
計算上は技術レベルをちょいと上げると70mとか75mいく選手はたくさんいると思うので、頑張って欲しいところです。まあ、実際には他の要素も関係してくるので、そう簡単にいかないかもですが、それに近い記録は狙えると思います。
ちなみに他の要素は身長や手の長さでしょうか。身長が高ければ投射角を高くできるし、リリースポイントが高くなりますからね。手の長さはハンマーのヘッドスピードに関係してきます。
75mを投げる選手が数人同時に出てくると面白くなるのになぁ~と思います。
アジア人が投擲種目で世界で戦うなんて到底無理!って思ってたけど、今中国の女子の投擲が世界レベル。
日本の投擲も続いてほしいもんです。